東大入試詳解シリーズ
Last-modified: Tue, 18 Jun 2024 10:21:52 JST (314d)
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東大入試詳解シリーズは、駿台文庫が出版する東京大学入試(前期日程)の科目別過去問題集である。
概要 
- 教学社の難関校過去問シリーズ「東大の〇〇」(通称「赤本」で以後はこれを意)に対抗して出版された東大の科目別過去問集。いわば駿台版25ヵ年シリーズ。通称「青本」。
- 25年 英語 / 20年 英語リスニング(音声DL) / 25年 数学(文科) / 25年 数学(理科) / 25年 現代文 / 25年 古典 / 24年 物理(上) / 20年 物理(下) / 25年 化学 / 25年 生物 / 25年 日本史 / 25年 世界史 / 25年 地理の全13点。
特徴 
- 年度版書籍ではない。
- 2023-1999年度の25年分(第3版)を収録(「物理・上」・リスニングを除く)。
- 本体価格は全て2,600円。つまり税込で2,860円である(第3版)。
- 赤本の25ヵ年シリーズ(最近の2021年まで収録)より高くなった。
- サイズ(第3版)は今まで通り物理のみB5判、他はA5判である。
科目別 
英語 
- 編集チームは、大島保彦、勝田耕史、斎藤資晴、佐山竹彦、武富直人、廣田睦美、増田悟。
- 誤植が多いので注意。
- 読解分野では要約解答の明らかな誤答を含めて、ミスが多く見受けられる。
- 作文分野は竹岡広信師からも好評価を得ている。
- 批判魔の竹岡師は、読解部分はしばしば批判するものの、作文部分は非常に高く評価している。
- 競合相手とその特徴は以下の通りである。
英語リスニング 
- 赤本と比べると発音は綺麗。(本番の教室ガチャの存在をお忘れなく)
- 収録年数の点ではかつては赤本に負けてしまっていた。
- 赤本で権利上省略されている年度/問題も収録されている。
- 第2版では2000~2019年の20年分になっており、ディスクが1枚増えて3枚になり、赤本との収録年数の差を埋めた。
- 本番はこれの1.3倍程度のスピードで読まれる上に、発音がハッキリしていない箇所がそこそこある。徐々に聞き取れるスピードを上げていくとよい。模試の過去問よりも速いので、そこまで対策してようやく土俵に立てるといった感じである。
- 音質を悪くする方法としては、スピーカーに接続して音が出る周辺をタオルなどで何重にも覆う、わざと音源に音割れ加工を施す(本番はどちらかというと発音が不明瞭で場合によっては子音すら判別しがたいといった感じなので、聞きにくさのベクトルとしては異なるが)、風呂場で音源を再生する(音がかなり反響するという点で、本番に近い)、くらいだろう。特に音が反響する場所での演習は必須である。まずは身の回りで使えそうな場所を探そう。駅やデパートでのアナウンスのような音質を再現でき、かつ少なくとも30分はある程度以上静かな時間があることが条件である。
- 各種東大模試過去問などの模擬問題集も購入して取り組むとよい。(内容を忘れているならば、受けた模試の復習も可)
- 演習量も非常に重要な分野なので、キムタツと鉄緑会のものは最低限といってもいいくらいである。
- というのも選択肢の数が5択になってから、あまり年数が経過していないためである。
- 競合相手とその特徴は以下の通りである。
数学(文科) 
- 過年度の青本の解説がそのまま再掲されている。
- 冒頭の対策についての文章は、雲幸一郎師執筆のもの。
- 明らかに赤本よりオススメである。赤本は問題を分野別に分類してしまっており、初見で問題を解くことを考えるとためにならないうえに、青本と同じ値段だからである。
青本は赤本の完全上位互換といえる。 - 競合相手とその特徴は以下の通りである。理系用のみを出版していたり、文理共用の書籍もあるので数学(理科)も参考にすると良い。
数学(理科) 
- 過年度の青本の解説がそのまま再掲されている。
- 冒頭の対策についての文章は、小林隆章師執筆のもの。
- 赤本と比べると解答のセンスが良い。
- 競合相手が最も多い科目である。競合相手とその特徴は以下の通りである。
- 東大数学プレミアム(教学社)
- 東大の理系数学25カ年(教学社)
- 東大・入試数学50年の軌跡【1971年~2020年】 (東京出版)
- 東大数学で1点でも多く取る方法 理系編(東京出版)
- 東大理系数学 系統と分析 (技術評論社)
- 大学への数学スペシャル東大・東工大(研文書院)
現代文 
- 冒頭の対策についての文章は、稲垣伸二師の書き下ろしで、吉本隆明の表出論を引用するなど独自の理論が展開されて-駿台内外から
ボロクソに批判されている。- 赤本並み
もしくはそれ以上に酷い内容である。
- 赤本並み
- ちなみに、赤本の方の著者も元関西駿台の桑原聡師である。
- 上述の通り過去問集の解答が酷いので、そもそも現代文をきちんと対策するくらいなら、英語で85点以上を狙うなり古典を素早く終わらせるなりした方がよい。上級現代文などで実力をつけておいて、現代文の対策は模試を受けた際に時間配分を身体に叩き込むだけにしておくのも1つの作戦として有用である。というか第一に、他の科目の方が科目の性質上リターンをより見込めるのも事実である。
- 競合相手とその特徴は以下の通りである。
古典 
- 古文の解答・解説は上野一孝、関谷浩。
- 漢文の解答・解説は三宅崇広、土屋裕(監修)。
- 赤本
(なお著者は関西駿台の講師)は批判の対象(特に古文が)になっているので、これか、これより圧倒的に優れた鉄緑会のものを買うとよいだろう。
物理(上・下) 
- 坂間勇、森下寛之編
- 高井隼人師がTwitterで褒めていらっしゃった。
- 解説で微積物理を使いまくるので注意。これが嫌なら、鉄緑会のものを買うとよい(科類別目標点、配点付き)。だが逆に微積物理を使うなら青本の方が良いという声もある。自分のやり方に合うものを選ぼう。
化学 
- 大川忠 著
- 物理の坂間勇師とは違い、過年度の青本の三國均師の解説は再掲されていない。
やはり、赤本や鉄緑会の過去問集と競合関係にある。が、鉄緑会のものは初版が2014年度用であり、古い問題もやりたければ青本を買うことになる。ただし鉄緑会のものにはセレクション問題として、直近10年分以外にも問題が5年分以上は載っている。- 赤本はセット演習しにくい構造になっているうえに解説も大して丁寧ではなく、化学は演習量も非常に重要な科目であることも相俟って、真っ先に選択肢から外れるだろう。
過年度の青本や下記の鉄緑会のものに比べればこちらも心底丁寧な解説ではないかもしれない。 - 鉄緑会のものでは大問別(I・II別)に難易度が記されており、科類別目標点も書いてある。非常に詳細な解説がなされているので、独学しやすい。また、配点が記されているので、「この手の問題には○点割り振られているから〜」と、問題構造を分析して戦略を立てるのにも非常に役立つ。特に戦略を考えるとなると、必須である。
- 2021年度第3問の出題ミスの指摘もしてくれているため、やはり鉄緑会のものは手に入れておくべきだろう。
- 出題ミスに関してはこちらも参照のこと→
https://youtu.be/MXBTQpQ9UBQ?si=VlNnueyLwPU3e2MX
- 赤本はセット演習しにくい構造になっているうえに解説も大して丁寧ではなく、化学は演習量も非常に重要な科目であることも相俟って、真っ先に選択肢から外れるだろう。
生物 
日本史 
- 解答解説の執筆者は、福井紳一(出題分析と入試対策、2017~2003)、安藤達朗(2002~1993)。
- 過年度の青本の解説がそのまま再掲されている(2003~2005年を除く)。
- 赤本(塚原哲也師の『東大の日本史27カ年』)とモロに競合している。
結果は皆さんご存知の通り
世界史 
- 解答解説の執筆者は、鵜飼恵太、金子隆、寺師貴憲、廣木俊昭、茂木誠、渡辺幹雄。
- 現行の教科書に即して解答解説を全部書き換えている。
- 解説には、その問題の関連事項や教科書から掘り下げた深い部分までがしっかり網羅されており、必ずしも知っておく必要はないものの理解の助けとなる箇所が多い。また、「これとこれは逆の関係」「次にこの考え方が復活するのはこの頃」などと、タテとヨコの網を張っている部分もあり、学習効率も良くなる。
- 情報量が厖大なので、マーカーを使って、ここだけ分かれば大丈夫 ということが一目で分かるようにするのも一つの手ではある。
- テーマ別東大世界史論述問題集(1989~2016)との重複有無は、第一問は概ね重複、第二問は殆ど重複なしである。テーマ別の方では、第三問を扱っていない。
- よって、第3問も解きたいならこちらがオススメ。
- が、あちらにしか載っていないテーマがあるのも事実ではある。また、本番に会場に持ち込むならあちらの方がコンパクトで便利である。
- 過年度の青本の大岡俊明師の解説は再掲されていない。
地理 
- 阿部恵伯 監著。
- 問題の統計はその当時のままだが、阿部師の「地理は生きている」という考えから、解説には当時の青本の解説を転記するだけではなく、その統計の最新版を掲載し、それについての説明を追加してあり、25年分研究する価値のあるように編集されている。
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