微積物理
Last-modified: Wed, 28 Sep 2022 15:32:56 JST (123d)
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- 微積物理とは、大学受験業界特有の用語で、微分積分学の概念や知識を用いて物理現象を理解しようとする考え方を指す。
- 物理学とは、自然界にみられる現象にはたらく普遍的な法則を記述・解析し、理解していく学問である。その記述、解析、理解にあたっては、ベクトルや三角関数、微分積分をはじめとした、様々な数学的知識が必要とされる。
- 特に微分積分がよく用いられる。微分とは、瞬間的な変化量を導出する考え方及びその演算法を指す。積分とは、微小部分の総和を元に変化の総合量を導出する考え方及びその演算法を指す。
- 物理学において、微分積分は瞬間的な変化量や総合的な変化量を数式として記述し、解析するためのツールとして頻用される。微分積分を用いることで、多くの物理現象を統一的な考え方で理解することができる。
- 最難関大では、公式に頼った解法よりも基本原理から微積で組み上げる物理の考え方をもとにした解法のほうが手早く処理できるような問題も多い。
- 大学で物理を学ぶ場合には確実に微分積分を用いる。
- 高校の物理では微積物理を一見使用していないように見えるが、実は微積は無意識に扱っている事が多い。
- 速度、加速度の定義は微分である。
- 微分を使わないとどうしようもない場面では、高校教師や一部の大学入試問題はΔ(デルタ)を用いて近似を使ったり微分係数を定義から求めさせることで切り抜ける。これは高校生に一見微分を使っていないように見せるためである。
- 数学で例えると二次方程式について解の公式を使わずにわざわざ平方完成してから解いているようなものである。
- 『難問題の系統とその解き方』で有名な服部嗣雄先生は、微分ではなく有限の増分を使用して講義を行っていた。
- これも、有限の増分を限りなく0に近づけてやれば、本質的には微分で取り扱っていることに変わりはない。
- 用いる数学の基礎は高校数学で十分に理解可能であり、高校物理は数学の複雑さを避けているように見えて、実は避けられていない。形式的に逃れようとするばかりに、物理学の議論をかえって曖昧にしているのである。
- 化学における「電子論」と同様、高校まででこの手法を経験しなかった人は大学物理で躓きやすい。
- 微積で物理を教わる場合、各単元を深く掘り下げながら勉強していくことになる。
- 関東物理科は権威である故坂間勇師、山本義隆師の方針の下、この微積物理を積極的に用いる講師が多い。
- 関東でも微積分を用いるという強制的な指導方針があるわけではなく、実質、各講師の裁量に委ねられている。
- 関東では微積物理派講師の方が(特に上位層の)生徒からもてはやされる傾向がある。
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