笠原邦彦

Last-modified: Sun, 25 Oct 2020 21:59:46 JST (1278d)
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笠原邦彦(かさはら くにひこ)は、元駿台予備学校物理科講師。合同会社juken7代表社員。

なお以下は2018年度までの情報である。

経歴

  • 千葉県千葉市生まれ、同市育ち。
  • 昭和学院秀英中学校・高等学校卒業。
  • 東京大学教養学部前期課程(理科一類)入学。
  • 東京大学理学部物理学科卒業。
  • 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修士課程修了。
  • 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程中退。
    • 専門は「重力波」。
    • 中退となったのにはカミオカンデの事故による予算縮小の影響もあるらしい。
  • 元 SEG物理科講師(2002 - ?年度)。
  • 駿台予備学校物理科講師(2004 - 2018年度)。
  • 水戸駿優予備学校講師。
  • 合同会社juken7代表社員(2018 - 年度)。

授業

  • 授業スタイルは微積分なども用いた王道的駿台物理を基調としたものであるが受験テクニックを教えることも少なくない。
    • どの分野を担当しても評価は高いが、師が1番輝くのは電磁気学、熱力学であろう。
    • 公式等が出てきた時に「でもさあ…これって自明じゃないよね…」と言っておもむろに証明することがある。
  • 生徒が物理について何も知らないことを前提として授業を行い、公式の証明もする。
  • 微積分を必要以上に多用せず、受験において最適だと思われる解き方を教える。
    • 各分野、基本となる考え方(解法フレーム)を提示して、これに収まらない考え方は例外処理として、覚えるべきところは覚えるという方針。
      • 解法が必要最小限となり、視界が明瞭になり、各解法の横のつながりも見えてくるほど頭の中が整理される。特にエネルギー収支の考え方は分野を問わず、分野を超えて理解が深まる。
    • エネルギーを導き出した後の式の整理の仕方などにおいて、「駿台の伝統的なやり方ではこう書くんだけどね」などと断ったうえで、自身なりに見やすい形に変えるなどの工夫をされることもしばしばある。
  • ゆっくりめに話し、丁寧な授業進行である。その分延長は多い。
    • 電気分野について特別な思いがあるらしく、特に丁寧に進める。
    • 昼休みを40分以上使ったこともある。
    • 関東出身で関東育ちのはずだがたまに関西弁になることも…
  • 板書中心の授業を行い、プリントは基本的に配らずにすべて講義・解説をしていく。板書はとてもきれいで、内容もまとまっている。
    • どうしても時間が足りないときや、授業の趣旨から外れる場合に、解答例のプリントを配布してくださることもある。
    • 「公式として覚えるもの」や一般化された論等が、ざっとノートを見直した時にも見て取れるようになっているので大変ありがたい。
    • ノートはできるだけ板書をそのまま書いてほしいが、特にインデントは絶対に守ってくれと仰る。
    • 黒板は4分割のことが多い。そのためノートを左右で分けたほうが見やすいかもしれない。
  • チョークは基本的に2色のみ。生徒が見やすいということで橙と緑を使うことが多い。
    • この2色の場合ならば、前記の「公式として覚えるもの」や一般化された論等は橙色の四角形で囲む。
  • 授業では物理現象・基本法則の説明+問題の解き方を説明し、受験テクニックにより重きを置いている。
    • 物理現象・基本法則のしっかりした説明にとどまらず、受験で点を取れるようにさせることを意識して授業する。
      • 「パパッと計算してしまうもの」や「受験勉強では公式としても使えるようにしておくもの」などという具合に、基本的な事象の説明の際にはっきりと受験での使い方を教えてくださる。
    • 受験生時代は「物理の問題を解く=点取りゲーム」と見なしていたらしい。
    • 熱力学では、圧力、体積、内部エネルギー変化、仕事、吸熱量がどのようにして決定したり求められたりするのかを明確かつ分かりやすく説明する。師の授業で学んでいる者は間違いなく熱力学は得意であるだろう。
    • 等と述べられているが本人は受験テクニックを教える講師と思われることを快く思ってない様子。
  • 他の物理講師と違って物理学的な見方より数学的な見方をすることが多い。
    • 物理学的な見方を軽視しているわけではない。
    • 笠原師は数学的に森下師のレベルを上回ることもあり、中級者向けというよりも数学が得意ではあるが物理は得意ではない人向けである。それは本人が数学がよくできることに由来すると思われる。
  • 教科書の範囲からあまり逸脱することなく深く突っ込んだ授業を行う。
    • 微積分についても今の教科書には載っているので、微積を使ってるから教科書から逸脱しているじゃないかという指摘はあたらない。
      「『駿台物理は微積分を使うから教科書とは違うものだ』って思っている人がたまにいますけど、今の教科書には微積分を使ったものも載っていますし、教科書みたいにグラフを書いて距離を求めるのは∫使わないだけで積分そのものですからね」
    • 「俺は絶対に微積分は使わん!」という物理講師は、「俺は2次方程式を解くときに絶対に解の公式は使わん!」と言っているのと同じであり、使えるんだから使えばいいじゃんとのこと。
    • 森下師や小倉師が使うような大学範囲の数学(外積など)を使うことは好まない。
      「別に外積で教えてもいいんですけど、これをやるとそれだけで高度なことを習ったって勘違いしてはしゃぐ高二病が出てくるんでやめておきますね」
      • このように生徒の事を第一に考えた分かりやすい解説は幅広い生徒から人気があった。こうした講師が駿台からいなくなってしまった事を嘆く生徒は多いはずである。
  • どのタイミングでどういう問題を解けば良いか、なども指示してくれて、その際に自習用の問題プリントを配ることもある。そのプリントの問題が完璧に解けるようになるまでは下手に市販の問題集に手をつけないほうがよい、とも仰っている。
  • 本人曰く最も良い物理の勉強法は、師の板書したノートを自分の理解度によって必要なところは足したり、わかっているところは省いたりして書き写し(決して頭を使わない丸写しではない)、ノートを見ずともノートの内容をすぐ使えるようにすることである。そしてそれをもとに最速の解答がかけるようにすることである。入試までに三回ほど写経し、ノートが3分の1にまで減っていることが理想。
    • 勉強に限らず、初めは師とする人の真似をして、それを繰り返すうちにいつの間にか師を超えているものだ。そういった意味で勉強においては考えて写経することが大切だ、と仰っている。
  • 演習型の授業では、度々時間割を破壊するので注意。
  • 近年の東大入試の物理に関して苦言を呈している。「ここ数年の東大物理はね、僕に言わせると、手抜きなのね」
    • 要求される処理能力が大幅に上がっている一方で、東大物理テスト演習に多く含まれるような、物理の本質を問う問題が減っていることを指している。
    • と言うより東大自体を批判することがある。その理由として、実際はリベラルアーツ教育が実施できていないからと言うことが挙げられる。
  • 演習コースを担当していた頃は自分の持つクラスの演習テストを自ら採点した。(普通は採点担当の職員が採点する) これをもとに過去に担当したクラスで実施したテストの正答率などをiPad内にデータベース化し、テスト演習などでは誤答が多かったポイントを指摘した。
    • なお、そのためにテスト返却が遅れ、点数分布表の作成が遅れるというデメリットもあったため、担当しないクラスではよく思わない学生もいたようである。しかし、これは師の面倒見の良さの裏返しとも言える。

担当授業

通期

直前Ⅰ期

出講無し

直前Ⅱ期

出講無し

人物

  • 関東物理科の人気講師かつ実力派講師の一人だった。
    • 事実、師の講習は満員になりやすく受けられない人が多かった。
  • 若手実力派人気講師の筆頭であった。
    • 化学科の某講師曰く「今の駿台物理科講師の中では一番人気な講師」。
    • 担当する講習の大半が締め切りになるほどの人気講師である。
  • 柏校では「金髪ゴリラ」の愛称で生徒に慕われていた。
  • 東大入試実戦模試の作問にもかかわっていた。
  • 2018年度直前講習を担当しなかった。
  • 2019年2月16日の高2スーパー物理を以て、駿台での全ての授業を終えた。
    授業後、入不二基義師、霜栄師、大島保彦師らが参加して、師を励ますための会食が催された(入不二師談)。
    • 笠原師は、「有り得ない(マジで)豪華メンバー」だったと感激なさっていた。
  • 本人曰く、物理の教員のなかで一番物理が好きらしい。
    • かなりの量の物理の専門書を読み漁って勉強しているそう。
    • 物理好きが伝染するのか、師のおかげで物理が好きになる人が続出。市谷校舎での目標は物理学科に行きたいという人を10人以上出すことだと仰っていた。
    • 最近は「熱力学」にも興味があるらしい。
    • 物理が簡単な法則から現実の事象へと広がっていくのと同様に、恋愛も恋愛シミュレーションゲームで学んでから現実へと応用するべきだと仰っていた。
  • 長身で茶髪。髭がトレードマーク。一年を通してジーンズにワイシャツであり、ニューバランスを好んで履いている。おしゃれ。
    • たまにキュゥべえのTシャツを着て出講する。まどマギがかなり好きな模様。
      • 曰く「真理を知らずとも優れたものは真理に到達する」らしい。
    • KalafinaのライブTシャツを着て講義されることもある。何種類か持っている模様。知らずに見るとただのお洒落なTシャツに見える。お好きなのだろう。
  • 笠原師ご自身は現役時代から駿台に通い、坂間勇師の講義を受けていた。
    • 物理の道に進もうか悩んでいたところ、父親から「駿台山本義隆という先生に習いに行きなさい」と言われたのがきっかけで駿台に通い始めたという。入ってみると高3の担当は山本師ではなく坂間師であったが、坂間師との出会いにより進路が決まったそうだ。
    • 坂間師が亡くなる1週間前にお見舞いに行ったらしく、その時に「君、サインカーブは綺麗に描かないと」と言われたらしい。そのことを笠原師は一生忘れられないと仰っていた。
  • 時に毒舌だが生徒には親身に接してくれる。
    • 非常に面倒見がよく、生徒の顔を覚えてくれる。担当クラス内での評判はいい。
    • 毒舌といっても、たとえば「受験なんてぬるいからきちんと勉強すればどこでも入れる」といった類のものである。なお、その勉強すればの具体的な目安は、「ノートを捨てても大丈夫になるまで」。
    • 森下師と仲睦まじかった2014年前後までも、一定の距離を置くようになった2015年以降で、物理の指導において強調するポイントはやや変化があったが、生徒に対してのスタンスは全く変わることなく、厚い信頼を集めた。
  • 中二病を自称している。
    • 曰く、世界は終わりに向かっているらしい。
  • バンドをやっていた事があるらしい。
    • 音楽ではKalafina・YUKI・X JAPAN・L'Arc〜en〜Cielなどが好きであるよう。
  • 自他共に認める左寄りの思考。
  • 自称「ネトゲ廃人」
  • 最近はプログラミングにはまっているらしい
  • 冬などの乾燥した時期に、喉の調子が悪いと、ペットボトルにつけるタイプの加湿器を持参することがある。
  • グラタンをレンジで温めようとした際、間違えて携帯をレンジに入れてしまい、爆発させたことがあるそう。(池知正昭師談)
  • 微分方程式を知っていることがまず相手に求める必要条件らしい。
    • 曰く、微分方程式は多分野に使えるためだという。
  • 口癖は「これ、雑談ね。」「なんで~?」「~なんだわ」。 
    • ちなみに本人の言う雑談とは高校範囲を超えた大学範囲の物理の話であることが多い。単なる自慢話やバカ話ではない。
      • このタイプの雑談は、物理に関する考え方、物理の歴史についてなど生徒の物理の力を伸ばすとても有意義なもので、聴く価値充分である。
    • 時々、物理や学問そのものに関わるものの、直接的には勉強と関係しない雑談もする。
      • 例えば、気象庁地磁気観測所と鉄道の運用についての話など。
  • 授業が延長する際には清掃の方に遅れる旨を伝え、また自分で黒板を消すなど講師の中でもかなり周りへの配慮を考えている。
  • 様々な講師と交流がある。
    • 駒橋輝圭師、吉田隆弘師との仲が良く、二人の授業を聞きに行ったりしているらしい。
    • 築舘一英師や吉原修一郎師とも仲が良い。
    • 駒橋師によるとよく飲みに行く仲なのだとか。
    • 大島保彦師は、笠原師のことを「こぎたねえおっちゃんかと思ってたけど、案外ちゃんとしている。」と仰っていた。また、上記にあるような笠原師の周囲への配りの良さを「笠原君は別格だから」とも仰っていた。両師は頻繁に食事を共にする程の仲である。
    • 大島師に「束縛条件の話を理解しきれない生徒が多いんです」と話したところ、「それって間接話法と直接話法の違いが分からない生徒が多いのと同じだね」と返されたそう。それらはどちらも、日本人と欧米人の語感の違いに由来するのだそうだ。その上で、「大島先生はあらゆる物事を一般化してくれるから、話題がさらに数学などへも広げられる」とし、大島師の「教科の垣根を超えた教育」を絶賛している。
    • 駿台で働き始めた時に数学科吉原修一郎師にお世話になったらしく、授業で名前が出てくる。その時に教室が笑いに包まれるのは言うまでもないことだろう。
    • 冬期講習にて、「頼んでもないのにすき焼き弁当の請求書が講師室の席に置いてあり、誰宛か見てみたら雲幸一郎宛のだった」と請求書を押し付けられたらしい。その後払ったかどうかは不明。
    • 大宮校ではその体格から現代文科の平井隆洋師とクラス担任との3人で「駿台のアンガールズ」と名乗っている。
    • 夏期講習では福井紳一師が10時過ぎまで延長することをネタにしたこともある。なお、それがフラグだったのか、その日は師も45分延長した。
    • 2015/16直前講習原子物理特講」で森下師の代講に入った時に「ボスの代わりに来ました」と一言。
  • おすすめの参考書は「1対1対応の演習シリーズ」と「新数学スタンダード演習」。
  • 師が現役時代の頃は、高一の頃から毎日数学を7時間やっていたとか。その時使用していた教材は、チャート式、1対1対応の演習シリーズ、新数学スタンダード演習、月刊大数等。
  • かつてはSEG物理科講師もしていた。
    • 1998年度からチューターを始め、2002年度に物理科講師。
  • 2004年度から駿台に出講。
  • 2007年度にはエミールに出講していた。
  • 201?年度より水戸駿優予備学校にも出講している。
  • 2017年、駿台と朝日新聞の共同企画「知の広場」リレーゼミの最後の講演を担当した。
    • この企画には大島保彦師も参加している。他の講演者には長沼毅、佐藤優などがいる。
    • 講演の様子は採録がHP上に載っている。
  • 昭和秀英に中学受験をして入学した。東大に愛校心はないものの、こちらにはあるよう。
  • 現在は、合同会社juken7を立ち上げ代表社員を務めている。
    • 全体のプロデュースの他、主に物理数学のコンテンツ作成、ウェブサイトの管理を行っている。
    • 懇意である駿台講師を他教科の客員講師として招聘している。
    • LIVE授業に『真の特講』と名付けるなど、駿台への対抗意識満々である。
    • 先に駿台を辞めた元化学科犬塚壮志師と合流している。
  • Twitterをやっているが、なかなかのツイ廃であることに疑いの余地はない。
  • 師の持つテキストの表紙にはkasakuniと書いてあることがある。
    • かつてkasakuni.comという個人サイトを設営していたが削除された。
  • 師には信者もアンチも多数いるため、真偽不明なデマなどが噂されたりwikiにも書かれるので注意が必要である。
    • 師はお茶飲みwikiを快く思っていないようで、自分の記事は見ないようにしてるらしい。

著書

学習参考書

  • 『2002大学入試 挑む50題 2001入試物理ベストセレクション』(共著 SEG出版、2002年1月 絶版
  • 物理の解法フレーム [力学・熱力学編]』(笠原邦彦 かんき出版、2019年12月17日)
  • 物理の解法フレーム [電磁気・波動編]』(笠原邦彦 かんき出版、2020年秋頃発売予定)

論文

  • 笠原邦彦(2017)「理数探究、そして教養 : 重力波検出実験を例に (百周年記念号) -- (リレーゼミ採録 特別プロジェクト 『知の広場』リレーゼミ 駿台予備学校×朝日新聞)」, 『駿台教育フォーラム』(31), pp.82-86, 2017-08.

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