京大入試詳解シリーズ

Last-modified: Sun, 21 Jan 2024 12:25:10 JST (320d)
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京大入試詳解シリーズは、駿台文庫が出版する京都大学入試(前期日程)の科目別過去問題集である。第1版は2020年3月に発売。



 

概要 Edit

  • 第一版は1995年〜2019年を収録。
  • 「25年 英語」、「25年 数学(文系)」、「25年 数学(理系)」、「25年 現代文」、「25年 古典」、「25年 物理」、「25年 化学」、「17年 日本史」、「17年 世界史」の9点から成る。
    • 歴史のみ17カ年である。中途半端な感じはするが、塚原哲也先生曰く「陽の極数8と陰の極数9の和と考えれば、ちょうど良い数」とのこと。
    • おそらく、駿台当局はそこまで考えていない。
  • 2022年10月、<第2版>が順次刊行された。
    • 最新の3年分(2020年~2022年)を加え、直近の過去25年分の収録となります。 (日本史世界史は20年分)
    • 生物は2021年刊行のため、今回の<第2版>の刊行はありません(駿台文庫公式Twitterより)
      • 日本史世界史は2020~2022年度の分を追加しただけなので、少しでも過去問を遡ろうと初版をメルカリなどで探さなくてもよい。というか、直近5年分は詳解には載せずに青本のみに載せる方が、受験生としては過去問を5年分多く解けるし出版社としては儲かるしでウィンウィンなのだが。是非とも以降はこのようにしてもらいたいものである
      • 生物は第2版出版の際に、10年分追加して25ヶ年にしてくれてもよかったのだが。

特徴 Edit

  • サイズは全てA5判である。
  • 年度版ではない。
  • 地理生物は発行されなかった。
    • 選択者が少なく、売れないと判断されたのだろうか...
    • 2021年11月12日、待望の生物が発売された(2021~2007の15年)。
  • 解説が総じて丁寧なので、赤本よりも需要は高そう。
  • 駿台生に限らず京大受験生の必需品。
    • それどころか、科目によっては東大や阪大の受験生や医学部受験生でも充分に使う価値があるのも事実である。
 

以下、科目別の特徴を記載。
特記がない限り、編者名は駿台予備学校である。

英語 Edit

  • 執筆者は桜井博之先生(英文解釈)、塚田潤先生(英作文)、丸山民生先生(英作文)。
  • 解釈部分は桜井博之先生なので板書を再現したような対比・言い換えを駆使した解説が掲載されており、過去問研究だけではなく、参考書としても役に立つ。
    • 未知語の類推などもしっかり解説されている。
    • 難しい単語でもただ載せたりするだけの赤本と比べると実戦的であるという点で学生の立場に寄り添っていると言えるだろう。
  • 英作部分は解答例が多く載っている。苦手な人には少しぶっきらぼうかもしれない。使える表現を増やしてから臨んだ方が身のためだろう。
    • 残念ながら、たくさん載せられている英作文の解答に対する批判は多い。
  • 赤本を含め、どれが良いかは各々が判断しよう。
  • 京大入試に学ぶ 和文英訳の技術/英語難構文の真髄 (プレイス) と併用するのも良い。後期の問題や青本にない年度のものも多少載っている。

数学(文系) Edit

  • 大部分が吉岡高志先生、近年のものは杉山義明先生と森宏征先生、古めの年は上田惇巳先生と戸谷隆雄先生による執筆である。赤本なんざと比べてはならない。
  • 池谷哲先生の『世界一わかりやすい京大の文系数学』と併用することでより多くのアプローチを学ぶことができ、数学に苦手意識を持つ生徒でも京大数学が怖いものではなくなる。

数学(理系) Edit

  • 大部分が米村明芳先生、近年のものは杉山義明先生と森宏征先生、古めの年は上田惇巳先生と戸谷隆雄先生による執筆である。赤本なんざと比べてはならない。
  • 池谷哲先生の『世界一わかりやすい京大の理系数学』(KADOKAWA)と併用して、より多くのアプローチを学ぶことができる。
  • 2022年秋に、なんと鉄緑会大阪校が10ヵ年を出した。採点基準を探れることを考えると、現状少なくともこれは買っておくべきである。早く東大のように40ヵ年も出してもらいたいものである

(参考)【文理合わせて収録】

  • 京大数学プレミアム』(教学社)
    • 入試詳解を執筆されている杉山義明師の編著書。さらに古い年の過去問を中心に扱い、さらに過去問として公表されているものの中で解答・解説があまり丁寧でない問題を取り上げ、それらを杉山師が丁寧に解答・解説作成している。併用すると京大数学の全貌を捉える一助になるだろう。授業と同様、解説のクオリティはそれなりに高い。同じく教学社にて出版されている難関校過去問シリーズ「京大の(文系あるいは理系)数学25カ年」とは基本的に重複が起こらないように(初版に関しては、64題中8題が重複)配慮されているので、併用してもそれほど差支えはない。あるいは、年代をバランスよくやりたいのであれば、これ1冊でも良いかもしれない。どのように使うかは、使用者個々に委ねられる。
  • 大学への数学シリーズ 入試数学51年の軌跡(1971年~2021年)
    • 文理ともに51年分(しかも後期・特色入試込み)が掲載されており、膨大な量である。受験生向けの問題集よりかは予備校や学習塾等の受験業者向けの参考書と言うスタンスが強いだろう。
    • 解説の内容は、「入試の軌跡(最近10年分)」あるいは過去の月刊「大学への数学」(4月号は前期・5月号は後期※2023年現在は廃止)をそのまま収録したものである。
    • 京大数学プレミアムで扱う問題の9割以上はこれでカバーできるため、解説は丁寧でなくても問題を数多くこなしたいなどと質よりも量を重視するなら京大数学プレミアムを買う必要は無い(但し、数学に関してかなり高い実力が必要となることが前提)。逆に問題数はある程度集約してでも量よりも質を重視するならば、京大数学プレミアムかもしれない。
    • 大数ユーザーにはこちらの方が良いかもしれないが、くれぐれも消化不良を起こさないようにされたい。個人の判断に委ねるが、受験生として使用する場合は現在の立場を踏まえ、共通テストや他科目とのバランスを考えて購入を考えよう。
    • 人を選ぶが、解説は少しハイレベルに感じるかもしれない(どちらかと言えば、中上級者向け)。

現代文 Edit

  • 松本孝子先生による執筆で、解説部分では試験場で再現可能な解答法を詳細に述べられている。
  • 解答例に対する批判が見受けられるのは毎度のことであるが、本書に関しては少ない方である。逆に称賛の声の方が多く聞かれるほど。
    • 東大の青本の100倍まともな解答例。というか比べるのも失礼なレベル。
    • 中野芳樹先生も、「京大やったら青本の解答例用意したらええけどね」とおっしゃっていた。
  • 中野芳樹先生のサイトに掲載されている京都大現代文解答例も参照されたい。

古典 Edit

  • 前田春彦先生による執筆である。「ここにこう書いてある」でお馴染みの丁寧な解説で、赤本より格段に良質。

物理 Edit

  • 冒頭の出題分析と入試対策の担当は新田克己先生。
  • 大部分が新田克己先生、近年のものは三幣剛史先生が執筆している。

化学 Edit

  • 石川正明先生、北山一先生が中心となって執筆。
  • 全科目中最も分厚い。
  • 解説が非常に丁寧なので、京大を受けない上位層が演習用に用いるのも良いかもしれない。その場合、化学の新演習なんかよりも非常にお得である。ただし、本命の対策を疎かにしないように。また、使うとしてもあくまで演習用なので、標準問題精講や新理系の化学問題100選が終わっていないなら、時期によってはそちらを優先しよう。
    • 地帝医志望者にとっては難化対策になる。分野を選んで一部だけ齧っても充分得るものは多いだろう。特に地方在住でまともに予備校の授業を受けられない人には、京大模試の過去問集と合わせて、検討していただきたい。
    • 書店で赤本と比較する時は、特に解説が手厚い2017年度以降のものを見るとよい(1年分あたりの解答解説のページ数の多さから判断できる)。鉄緑会東大化学10ヶ年を思わせるような、これ以上ないほどの丁寧な解説である。学部別目標点と配点さえ載せてしまえば、鉄緑会のものとあまり変わらないレベルと言っても差し支えない。

生物 Edit

  • 2021年11月12日発売。
  • 15年(2021~2007)。
  • 入試詳解シリーズでは唯一、生物だけが(東大入試詳解・生物も同様)解答解説集が別冊子となっている(問題が本冊子に掲載)。
  • ベースは過去の青本だが、解説は現行課程に合わせて適宜書き換えているようだ(伊藤和修師のTwitterより)。
  • 京大生物には赤本がないため、全員が青本を使うことになる。そもそも京大の過去問集で赤本を使う理由などないのだが

日本史 Edit

  • 言わずと知れた塚原哲也先生が執筆している。
  • 東大(赤本)・京大(本書)の日本史は、どちらも師の解説が世間に出回ることになる。
  • 「つかはらの日本史工房」も利用されたい。

世界史 Edit

  • 相田知史先生監修。
  • 賛否両論あるが、まあ悪いものではない。

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