新・英文法頻出問題演習

Last-modified: Sat, 03 Feb 2024 20:51:33 JST (75d)
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概要 Edit

  • ネクステ、アプグレ、ヴィンテージ、タケオ科ULTIMATEなど、いわゆる“英頻型演習書”の元祖である。
    • 当時はコンピュータがまだ身近ではない時分に、伊藤師がカードを用い入試問題を地道に採集、その分類・整理を経て作られた。
  • 2001年にPART Ⅰの文法篇とPART Ⅱの熟語篇の分冊版が刊行された。
  • 1972年(初版)、1979年(増補改訂版)、1991年(新版)、2001年1月17日(新装版,分冊版)。
  • 「新・英頻」併用 英文法問題集 1992年1月10日

特徴 Edit

  • 通称、“英頻”または“文頻”。
    • 当初は、“文標”(英文法標準問題精講)と対比的に“文頻”と呼ばれていたが、次第に、“英頻”の方が主流となっていった。
    • なお、“英頻”は本書が元祖であり、アチラは“桐原の英頻”である。
  • 刊行当初は、当時、英文法問題集の双璧と言われていた、原仙作著『英文法標準問題精講』(旺文社、1966年)、森一郎著『試験にでる英文法』(青春出版社、1971年)の二冊に次ぐ存在であった。
  • 1980年代初頭から中頃にかけては、英文法問題集人気No.1であった。
    • 哲学者・千葉雅也氏も「ボロボロになるまでやった」 と語っている
    • 声優の浅野真澄も使っていた。(一騎当千GGR第11回放送)
    • その後は、本書のパクリ本と言われる上垣暁雄編著『英語頻出問題総演習』(桐原書店、1985年)が学校採用を中心にシェアを広げた。
      • 「その「英頻」だが、さすがの伊藤和夫も上垣の快著『即戦ゼミ③ 英語頻出問題総演習』(桐原書店、1985)には勝てなかった。」*1
  • 伊藤氏は公称三百万部を売った『英頻』に絶対の自信を持っていたようで、「次の改訂の時、僕が『英頻』の文法編に手を入れたいと言ったら、ボケた証拠だ。編集部でやめさせてくれ」と、冗談混じりに話していたそうです。(原文ママ)*2
    • 逆に言うと、熟語篇は手を入れる余地があったということであろうか。
  • 暗記では無く一から発展させると、前書きには書いてあるが、そんなことは全くない。 
    • どの位簡潔かというと、文法用語の列が公式のように数行で書かれているだけである。
    • 簡素でも一応の解説を示している問題もあるが、「○○は☓☓なので、答えは○○である」程度の記述しかない解説がほとんどで、解答はあっても解説はないと言っても過言ではない。
    • 説明が最小限というのは、この当時の参考書としては決して珍しいものではない。その分、それなりに余白があるので、分からない箇所は自分で調べて解説を書き込んでいく使い方もできる。
    • 駿台の高卒校内生であれば英文法Sなどの授業で第1文型から英文法を教わるので、文字通り併用すれば良いだけである。
  • 難易度としてはフォレスト(エバーグリーン)やネクステよりも上。
    • 説明は最小限・問題は比較的難しめ、という特徴ゆえ、英語の基礎力が身についていない人には向かない。
    • 既に基礎的な文法知識(センター・共通テストレベル)を一通り理解している人が、抜け漏れの確認のために使うのがオススメ。
  • 特に久山道彦師が本書を勧めており、前期の授業では「この本を3周していなければ国立なんてお話にならない」と頻繁におっしゃる。また本書と対比させる形で、フォレストやネクステをおもちゃと言っている。
    • ただし、本書が「読解の基礎としての英文法」を詰めるには良いのは確かだが、早慶レベルの細かな文法問題はカバーしていない。そのため、私大対策も一冊で賄える他の参考書を使う受講生もいる。
      • 「現役生の場合、ネクステを高校で配られて好き嫌いに関係なく宿題として課される生徒も多い。やらなければならない課題について生徒の不安を煽るのは良くない」として、久山師の発言をやんわり批判する講師もいる。
    • ちなみに久山師曰く「高校3年に進級するまでに終わらせるべき教材」とのこと。これが難しく歯が立たないならば、高橋善昭師らが著した『基礎徹底 そこが知りたい英文法』から始めると良いそうだ。
    • 久山師は、この教材を完璧にしたあとにやるべき教材として『「新・英頻」併用 英文法問題集』を挙げている。
  • さらに大島保彦師によると「インプットの為の教材。夏頃に卒業すべきで、最後までこれではダメ。ランダム型のものもやらねばいけない」とのこと。
    • 大島師の冬期講座「英語アウトプット200+α」はそのための存在とも言える。
    • 本書の姉妹篇である『「新・英頻」併用 英文法問題集』はランダム型なので、これを活用するのもよい。
  • かつて、仲本浩喜師の『大学入試攻略 英文法TOP100』(駿台文庫)が、駿台文庫の本で初めて本書を(瞬間的に)抜くほどの売り上げを記録したことで、講習会で師のオリジナル講座が設置されることになった。(仲本師ツイッターより)
  • 始める踏ん切りがつかない人は、逆に併用問題集から始めると良いだろう。
    • 巻末のアセスメントマップを塗りつぶすと、自身の文法力がどの程度か視覚的に把握出来るようになっている。
    • これがスラスラ解けるなら相当に自信を持って良いであろうし、取り零しが多いなら謙虚に学び直すべき。

PART Ⅰ 文法篇 Edit

  • 文法をストレートかつコンパクトにまとめてあるので、基本的な文法事項を理解した後の仕上げの段階で使うと、一通りの文法知識が確認、整理できる。
  • 解説が少ないので、受験勉強の初期の段階では使えない。
  • 知識確認にはよいが、入試の文法問題の演習書としては素直過ぎる。

PART Ⅱ 熟語篇 Edit

  • 問題形式になっているため頭に入りやすい。
  • 熟語が同じパターンで分類され、系統的に並んでいる。
  • 前置詞に関する勘が養える。
  • 前置詞はアルファベット順、前置詞以外も系統的に並んでいるので、前後の問題から答えがわかってしまう。
  • 解説には役立つことが書いてある。
  • 数が少ないのが難点で、早慶上智レベルの入試には対応できない。

「新・英頻」併用 英文法問題集 Edit

  • 上記よりレベルの高い問題がランダムに並んでいる。
  • レベル1〜4の四段階構成。
    • レベル4が解けるようになると文法問題で不安はないとのこと。
  • 巻末にアセスメント・マップがあり、誤答番号を塗り潰すとどの分野が弱いかわかるようになっている。
  • 本編に比してなぜかマイナーな存在であるが、久山道彦師推薦である。

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*1 江利川春雄著『受験英語と日本人─入試問題と参考書からみる英語学習史』(研究社、2011)
*2 1997年5月26日産経新聞朝刊「受験のカリスマ」5