入試数学の盲点A〈わかったつもりでいる人のために〉
Last-modified: Sat, 29 Jul 2023 01:53:32 JST (234d)
Top > 入試数学の盲点A〈わかったつもりでいる人のために〉
設置校舎
テキスト
- レベル:6-8.5
- 監修は小林隆章師。毎年改訂されている。
- 大きく分けて3部構成。
- 必要十分条件
- 同値変形の意義
- 写像の値域
- テキストの実際の構成は以下の通り。はじめににも書かれている通り、内容による分類であって1日1セクション進む、という訳では無いことに注意。
§0 数学的議論をするための基本用語・論理の基礎
§1 §0の確認
§2 連立方程式と図形(Ⅰ)
§3 連立方程式と図形(Ⅱ)
§4 軌跡・変換・値域(写像問題)- 講義問題は24題程度あるが、原理に関する問題などが入っていたり(<原理>と書かれている問題はしっかりとした解答を作成しなくてよいとはじめにに書かれている)、*の着いている問題は巻末に解答があるため問題のポイントなどの説明が主になるなど、実際に授業で解答を書き上げることになるのは6割くらいになる。しかし当然ながら予習はすべてやっておくこと。
- §4の最後の方の問題は時間の関係からプリント解説になることが多い
- Coffee Breakと題された問題がある。出典は明治大学や東京商船大学など。まさにCoffee Breakというような楽しい問題であるので、息抜きとしてやってみると良い。
- 参考題が30題近くあり、非常に有用である。難度の高い問題も多い(実際、東大京大や早慶などの問題が大半を占めている。)
- テキストはすべて最初から物語のようにあらすじがあり、前半では抽象的な議論がほとんど。後半はそれを応用し写像(軌跡など)の"理解"を目指す。
- 故に前半を寝て過ごす人がいるようだが、その真意は後半の実践的な問題で発揮する。1日目2日目で脱落することのないように。
- はじめににも§2までは授業についてくるように書いてある。また、授業初回で師もこのことについて注意をなさるので、それらをすべて無視して寝るといったことがないように。
授業
- 2021年度から(HG)講座になった。それでも延長する。
- 講座名通り、わかったつもりになっているが実際は理解出来てない人が多い「盲点」を扱う講座である。
- ややレベルが高いものの文系の受講者も十分想定されており、講義では数学Ⅲ範囲の知識には軽く言及するくらいで、解説はすべて文理共通範囲で行われる。最難関志望かつ数学で差をつけたい人にはお勧め。
- 補題には理系用として数学Ⅲが一部入る。
- 数学の根本的な本質は変わらない。元駿台講師で今は東進講師の長岡恭史師やSEGなどで数学を習っている場合、そこで受ける話と似たものになる。
- 具体的には、グラフと図形との融合問題や、通常の参考書や問題集では扱う事の無いテーマを扱う。中でも写像や軌跡などの範囲は根本原理から応用発展まで触れる事で、式とその変形の意味を突き詰めて本質を理解する事を目指す。
- 1日目は必要十分条件、2日目は同値性、3日目は写像の値域の定義、4日目はその問題を主に扱う。
- 軌跡、写像などの範囲がいまいち掴めないが、本当に分かりたい人や疑問を解消したい人は受講を考えても良いだろう。
- 問題の出典は東大の文理共通問題などが中心であるが、埼玉大や関西学院大など中堅大学の問題も含まれる。答えらしきものは出せても構造が掴めていなければ時間内に正解にたどり着けない問題や、実は標準的であるが問題文が簡潔で何を問われているか掴めなければ手が出ない問題など、まさに盲点をつく問題が揃っている。
- 一部の研究問題や参考問題には理系向けのものも含まれ、補助教材なども合わせると極と極線や変換など数3範囲との関連が強い分野も解説されている。
- 難しいという声が多いが、ちゃんと授業を聞いて理解すれば授業内容(思考)自体は難しくはない(もちろん一部は言い換えの発想が難しいものもあるが)のではないかという意見もある。
- そのためこれらの範囲がいまいち掴めないが、本当に分かりたい人や疑問を解消したい人は受講を考えても良いだろう。
- 普段、数学の問題を解く上で大局的な感覚を持って解くということを身についている人には、講習を通して理解がより一層深くできる。
- 逆に言えばこういった感覚なしに普段一対一対応で問題を解いている人には、ほぼ無意味な講座。
- 師曰く通期教材に基礎的事項はおおよそ含まれているので、前期の復習をした上で余裕がある人が通期では扱う事が出来ない範囲の補完として取って欲しいとの事。
- 前期教材などで必須事項をつぶし込んで、講座で扱うテーマを「盲点」といえるまで追い込めてはじめて関連項目との相乗効果の見込める講座と考えてよい。
- 数学が得意で、ある程度模試などの結果も出せているレベルの生徒が受講して「わかったつもり」であったことを実感し実りを得る講座であり、受講前から「わかったつもり」である自覚があるレベルの生徒が受けても得るものは少ないだろう。講座名で勘違いしてはならない。
- とは言え、論理や写像の原理を徹底して確認し、すぐさま得点に直結するというよりは基礎を掘り下げる講座なので、本格的な演習に入る準備という心構えで受講するとよい。早いタームにしか開講されないのはそのためである。
- 数学が得意ではない人の中には、受けてもコバタカの速く量の多い板書を写すのに精一杯で、きちんと身につかない人が毎年多くいる。自分のレベルに合った講座をとるのが大切である。
- 実際は廣田睦美師など板書スピードを誇る師の授業を受けていると全く速く感じない。
- 扱う問題量が多いため、初日に予め毎日15分から20分程度延長すると告知する。
- 初日にその後の進度が予告される。なお、初日は例年§2の2まで進む。
- 大学に入った後も役に立たないことはないが、大学入学後参考書のように使えるわけではない。あくまでも受験対策である。
- 1988年から続くオリジナル講座(当時は二つに分かれていなかった)で、数学IIの円束の問題について本質を理解していない生徒を見て設置したとのこと。
- 新たに東進の青木純二師が「数学の真髄」という著書を発売した。趣旨が比較的似ているので、この講座を取ろうか迷っている人には参考になるかもしれない。しかし、小林師がこの書籍を参考になるとして推薦されるのかどうかは2023年度の本講座までは不明である。
- 写像関連の問題の復習として、『入試数学の掌握②各論錬磨編』のTheme3をやると、おそらく写像問題でミスを犯すことはないだろう。
ーー
Amazon