阪大入試詳解シリーズ
Last-modified: Thu, 22 Sep 2022 14:02:45 JST (580d)
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東大入試詳解シリーズは、駿台文庫が出版する東京大学入試(前期日程)の科目別過去問題集である。第1版は2018年3月2日に発売。2020年3月5日~26日に第2版が発売された(「物理・下」は除く)。
概要
- 教学社の難関校過去問シリーズ「東大の〇〇」(通称「赤本」で以後はこれを意)に対抗して出版された東大の科目別過去問集。いわば駿台版25ヵ年シリーズ。通称「青本」。
- 25年 英語 / 20年 英語リスニング(CD付) / 25年 数学(文科) / 25年 数学(理科) / 25年 現代文 / 25年 古典 / 20年 物理(上) / 20年 物理(下) / 25年 化学 / 25年 生物 / 25年 日本史 / 25年 世界史 / 25年 地理の全13点。
特徴
- 年度版書籍ではない。
- 地学の発売はない。
- 本体価格は全て2300円。つまり税込で2530円である。
- 赤本の27ヵ年シリーズと同じである。
- サイズは基本的にA5判である。物理のみB5判。
- 他に競合するであろう過去問集は、鉄緑会の東大問題集や『大学への数学』の増刊号や河合出版の問題集などが挙げられる。
- どれがよいかは、各自で実物を見て判断してほしい。自分が納得したうえで購入した方が後から後悔しにくくなる。ちゃんと見てもどれが良いかいまいちピンと来ない場合、ここのような情報元を大量に漁って決めるとよい。
科目別
英語
- 編集チームは、大島保彦、勝田耕史、斎藤資晴、佐山竹彦、武富直人、廣田睦美、増田悟。
- 誤植が多いので注意。
- 読解分野では要約解答の明らかな誤答を含めて、ミスが多く見受けられる。
- 作文分野は好評価を得ている。
- 批判魔の竹岡師は、読解部分はしばしば批判するものの、作文部分は非常に高く評価している。
- 赤本(竹岡広信師の『東大の英語27カ年 第10版 (赤本)』)ともろに競合している。
英語リスニング
- 赤本と比べると発音は綺麗。(本番の教室ガチャの存在をお忘れなく)
- 収録年数の点ではかつては赤本に負けてしまっていた。
- 第2版では2000~2019年の20年分になっており、ディスクが1枚増えて3枚になり、赤本との収録年数の差を埋めた。
- 本番はこれの1.3倍程度のスピードで読まれる上に、発音がハッキリしていない箇所がそこそこある。徐々に聞き取れるスピードを上げていくとよい。
- 各種東大模試過去問などの模擬問題集も購入して取り組むとよい。(内容を忘れているならば、受けた模試の復習も可)
- 演習量も非常に重要な分野なので、キムタツと鉄緑会のものは最低限といってもいいくらいである。
- というのも選択肢の数が5択になってから、あまり年数が経過していないためである。
数学(文科)
- 過年度の青本の解説がそのまま再掲されている。
- 冒頭の対策についての文章は、雲幸一郎師執筆のもの。
- 明らかに赤本よりオススメである。赤本は問題を分野別に分類してしまっており、初見で問題を解くことを考えるとためにならないうえに、青本と同じ値段だからである。
青本は赤本の完全上位互換といえる
数学(理科)
- 過年度の青本の解説がそのまま再掲されている。
- 冒頭の対策についての文章は、小林隆章師執筆のもの。
- 赤本と比べると解答のセンスが良い。
- 競合相手が最も多い科目である。競合相手とその特徴は以下の通りである。
- 大学への数学シリーズ 入試の軌跡
- 鉄緑会 東大数学問題集
- 10ヶ年と40ヶ年のものがある(後者は後期込み)。文理ともに掲載。科類別の目標点があり、参考になる。また、別解が豊富で、全ての解答方針に採点基準が付されている。これらのことから、使いやすさはピカイチである。値段は高いが、
それでも講習1つよりは安いので、地方で予備校に通えない東大志望者は予備校の講習を1つ取るつもりで思い切って買うとよい。
- 10ヶ年と40ヶ年のものがある(後者は後期込み)。文理ともに掲載。科類別の目標点があり、参考になる。また、別解が豊富で、全ての解答方針に採点基準が付されている。これらのことから、使いやすさはピカイチである。値段は高いが、
- 河合塾 72ヶ年
- 指導者が買って過去問を研究するのに向いている。解説も丁寧ではないので、少なくとも受験生向きではない。
- 東大数学で1点でも多く取る方法
- 東大数学 系統と分析
- 筆者の周りでは、青本・鉄緑会・大数ユーザーが多い印象である。参考程度に。
- 下手に年数が多いものを買って大量に解き散らかし、消化不良を起こすくらいなら、少ない年数でもいいので丁寧にやったり、入試数学の掌握シリーズをやったりする方がよい。その辺の自制心がある者なら大数や鉄緑会の40ヶ年を買ってもいいかもしれない。
現代文
- 冒頭の対策についての文章は、稲垣伸二師の書き下ろしで、吉本隆明の表出論を引用するなど独自の理論が展開されている。
- 「信頼出来る解答例」とは、内野師が配布する解答集、内野師の著書『ライジング現代文』に掲載された東大過去問の解答例、中野師のホームページに掲載されている東京大現代文解答例や、中野師が担当する冬期講習『東大国語』で配布される解答集、中野師の著書『現代文 読解の基礎講義』に掲載された東大過去問の解答例、東進の林修師が特進生に配布する解答集(および東進過去問データベースの解答例)くらいであろう。
- ちなみに、赤本の方の著者も元関西駿台の桑原聡師である。
- 上述の通り過去問集の解答が酷いので、そもそも現代文をきちんと対策するくらいなら、英語で85点以上を狙うなり古典を素早く終わらせるなりした方がよい。上級現代文などで実力をつけておいて、現代文の対策は模試を受けた際に時間配分を身体に叩き込むだけにしておくのも1つの作戦として有用である。というか第一に、他の科目の方が科目の性質上リターンをより見込めるのも事実である。
古典
- 古文の解答・解説は上野一孝、関谷浩。
- 漢文の解答・解説は三宅崇広、土屋裕(監修)。
- 赤本
(なお著者は関西駿台の講師)は批判の対象になっているので、これかこれより圧倒的に優れた鉄緑会のものを買うとよいだろう。- 鉄緑会のものは10年分しか載っていないが、メルカリなどで10年前のものを買う者もいたりする。
物理(上・下)
- 坂間勇、森下寛之編
- 高井隼人師がTwitterで褒めていらっしゃった。
- 解説で微積物理を使いまくるので注意。これが嫌なら、鉄緑会のものを買うとよい(科類別目標点、配点付き)。だが逆に微積物理を使うなら青本の方が良いという声もある。自分のやり方に合うものを選ぼう。
化学
- 大川忠 著
- 物理の坂間勇師とは違い、過年度の青本の三國均師の解説は再掲されていない。
やはり、赤本や鉄緑会の過去問集と競合関係にある。が、鉄緑会のものは初版が2014年度用であり、古い問題もやりたければ青本を買うことになる。
生物
日本史
- 解答解説の執筆者は、福井紳一(出題分析と入試対策、2017~2003)、安藤達朗(2002~1993)。
- 過年度の青本の解説がそのまま再掲されている(2003~2005年を除く)。
- 赤本(塚原哲也師の『東大の日本史27カ年』)とモロに競合している。
結果は皆さんご存知の通り
世界史
- 解答解説の執筆者は、鵜飼恵太、金子隆、寺師貴憲、廣木俊昭、茂木誠、渡辺幹雄。
- 現行の教科書に即して解答解説を全部書き換えている。
- 解説には、その問題の関連事項や教科書から掘り下げた深い部分までがしっかり網羅されており、必ずしも知っておく必要はないものの理解の助けとなる箇所が多い。また、「これとこれは逆の関係」「次にこの考え方が復活するのはこの頃」などと、タテとヨコの網を張っている部分もあり、学習効率も良くなる。
- 情報量が厖大なので、マーカーを使って、ここだけ分かれば大丈夫 ということが一目で分かるようにするのも一つの手ではある。
- テーマ別東大世界史論述問題集(1989~2016)との重複有無は、第一問は概ね重複、第二問は殆ど重複なしである。テーマ別の方では、第三問を扱っていない。
- よって、第3問も解きたいならこちらがオススメ。
- が、あちらにしか載っていないテーマがあるのも事実ではある。また、本番に会場に持ち込むならあちらの方がコンパクトで便利である。
- 過年度の青本の大岡俊明師の解説は再掲されていない。
地理
- 阿部恵伯 監著。
- 問題の統計はその当時のままだが、阿部師の「地理は生きている」という考えから、解説には当時の青本の解説を転記するだけではなく、その統計の最新版を掲載し、それについての説明を追加してあり、25年分研究する価値のあるように編集されている。
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