東大入試実戦模試

Last-modified: Thu, 30 Nov 2023 22:39:06 JST (137d)
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概要 Edit

  • 8月と11月の2回実施。
  • 河合塾の東大入試オープンと異なり、2日間に渡って行われる。
    • 以前は東大オープンも2日間での実施であったが、22年〜23年にかけて1日での実施になった。 
    • 現役生の習得範囲に配慮しつつ、第1回と第2回の両方で高校全範囲を網羅することになっている。
    • 第1回は本番と同じく、1日目・2日目共に9:30からの開始となっている。
    • 第2回は土曜日に学校がある私立を考慮して、初日は14:30開始である。しかし2日目は9:30開始なので生活リズムを崩さないように。
  • 関東の講師陣が作成している。東大入試詳解シリーズ執筆陣とほぼ同じと考えて良いだろう。
  • 過去問集が売られているが、載っている問題の回が第1回か第2回で統一されておらず同時期に解いても判定を出せないので注意。

特徴 Edit

  • 河合塾実施のオープン模試と比べて難易度が高く、復習する価値は高い(特に理系科目)。
    • 特にここ最近の数学の問題は、過去の問題と比べ考え方を重要視するものが増えており、学びが多い。
    • 現代文駿台関西や他予備校から批判が多い。
  • 駿台のどの模試にも言える事だが、本番での的中を狙うと言うより、「受験生の弱点分野や欠落しがちな思考経路を暴き出す」という教育的側面に作問姿勢の重きが置かれている。
  • お茶の水3号館では、第1回受験者を対象とする夏期講習実戦・東大英語』『実戦・東大理系数学』『実戦・東大文系数学』(いずれも2日間講座)が設置されている。英語の担当は増田悟師、数学の担当は文理共に雲幸一郎師。
  • 3号館に通う生徒は、第1回東大実戦が優秀であれば、3号館内で科目ごとに得点も含めて氏名が掲示される。
    3号館だとSXの平均偏差値が65前後。SA上半分やSYはA判ライン付近。LXやLA上位層もA判定を多数叩き出してくる。他は....
  • Z会には、東大実戦受験者対象のブラッシュアップ講座が用意されている。価格は税抜き3000円。
  • 2019年度より、Z会と共催になった。これに伴い、 Z会のホームページで本模試受験者限定の解説講義動画が配信される。
  • なお、現役生向けには2月に東大本番実戦テスト講座もある。実質、第3回東大実戦であるが、難易度は全体的に低い(解いてる最中に簡単だと思うくらい低い)。I-SUM生は2000円と安値で受けられるので、過去問の進捗に問題がなければ受けるのもアリ。ちなみに、試験時間も本番に合わせて両日とも朝から。

科目別の特徴 Edit

英語 Edit

  • 大島保彦斎藤資晴武富直人勝田耕史増田悟らが作成。
  • 英作文の配点が30点であることが俎上に乗せられることがある。聞くところによると、本番は12×2=24点らしい。真相やいかに。
  • 最新年度の出題形式をそのまま踏襲する河合塾のオープン模試と比べると問題の質が良いため、評判は良い。
    • が、オープンの方が東大英語らしさが出ているという声も見受けられる。大問によるのかもしれない。
    • 事実、4Bはいたずらに語彙が難しかったり、5は状況のふんわり感が薄い回もある。が、1Bや4Aはよく練られているものばかりである。あまりこういうところを気にしても仕方ないが
    • というかオープンの方は河合塾側が現役生に「東大というのはこのような入試である」というのを示すため、故意に前年度の形式をかなりの再現度で踏襲しているため一概にどちらが良いかなどとは結論付けることはできない。
  • 過去問集に載っているのは第1回が5年分(音声DL付き)。値段は他の科目より高い。
    • 英語は本番と同形式で演習する回数も重要であるため、演習量確保のために必須といえる。

数学 Edit

  • 雲幸一郎森茂樹が中心となり作成。
  • 特にここ最近の数学の問題は、過去の問題と比べ考え方を重要視するものが増えており、学びが多い。
  • 理系ではたまに、難易度調整をミスったかのようなとんでもなく難しい問題が出題される。
    • 問題の質の良さゆえ、意図して行われている可能性は高い。
    • そんなこんなで60点強を取れば偏差値70を叩き出せてしまう。(K塾OPは偏差値60前後。)
      上位層はきちんと得点するが、中位層は差がつきにくくかなり団子状態になっている。
      • ちなみに、代ゼミの東大プレも非常に難しい。こちらの過去問も買っておく価値はある。
    • 通称「天上人の遊び」。
      • 天の上に漂うのはCLOUD(つまり雲)
  • 文系ではそれほど難しい問題は出ず、基本がしっかりしていれば45点くらいは取れる作りになっている。
  • 過去問集に載っているのは、第2回が6年分。

国語 Edit

  • 現代文霜栄らが作成。古文松井誠らが作成。漢文三宅崇広らが作成。
  • 現代文の評判は良くない。駿台内外から多数の批判がある。
    • 中野芳樹師は「あんなもん復習せんでよろしい。」とまでおっしゃる。
    • 東大実戦に限る話ではなく、現代文の模試全般についてそうおっしゃるのだが、特に東大実戦については強くおっしゃっている。
      • とりわけ2020年度の問題や模範解答に関しては批判が多いようである。
    • 東進の林修氏も批判的である。
      • 「東大実戦の文章がクソだ、クソだって言われてるんだって?まぁそんな粗悪な模試気にしなくていいから。」
  • 古文漢文は良質と言われている。
    • 知識だけでなく、しっかりとした読解力(文章全体を見る力)が問われる教育的な出題である。
    • 古文の採点基準は非常に厳しい。少なくとも本番以上である。と思いきや、2022年度の開示を見る限り国語の採点基準は全体的に厳しくなったといえるだろうから、これくらいの厳しさに慣れておく価値が高まった。
    • そんな採点基準が2022年第2回さらにパワーアップし、20点で偏差値50、SX平均が26点と言うとんでもない事態に。本番に合わせるのはいいことだが、もはや捨てるが勝ちゲーのような状態になってしまった。
    • 関西の前田春彦師は、出題された素材文には違和感を示しながらも、復習する価値があるとおっしゃる。
  • 過去問集には、秋の分が直近5年分掲載されている。
    • ぶっちゃけ古典目当てで買うのが1番妥当である

日本史 Edit

  • 福井紳一らが作成。
  • 関西の日本史科講師陣からの評判は著しく悪い。
    • 鈴木和裕師は、過去問研究を優先するよう仰る。
    • 塚原哲也師は、問題の質や傾向に対して批判的な意見を持っておられる。講義では、学術的な視点から問題の誤りをネタにすることも。
  • 実際、関東日本史科の意向が強く反映されて一面的なきらいはあり、東大の求める多角的な視点からの考察が養われるかは疑問。
  • 史料文にほとんど意味がない問題もあり、知識偏重だとする批判がある。実際、東大の教授は細かい知識よりも歴史の大きな流れ、見方に関して力をつけて欲しいと仰るところからすれば、東大実戦は本物からはかなりかけ離れたものであると言わざるを得ないだろう。
  • ただし本番で問われうる知識を問うているのは事実であり、問題の質がどうであれ知識としては復習する価値がある。
  • 解説が日本史というより思想史が故、SNSなどで福井紳一に対する批判がある。毎年恒例になりつつある
    • 少なくとも2015年夏は一問も作題には関与していない。

世界史 Edit

  • 渡辺幹雄らが作成。
  • 問題の分野は、第1回と第2回で時期に偏りが見られる。現役生への配慮だろう。
  • 賛否両論である。
  • 肯定的意見は以下のとおり。
    • 第1問は、まだ東大が模試の問題を確認し始める以前は何度か的中しており、研究の深さが窺い知れる。
      • このことについては、渡辺幹雄師いわく、「東大の先生とフィーリングが合った」。
      • 東大プレ世界史演習でも第1問を的中させている。
      • 渡辺師は、的中を期待するのではなく、過去問、実戦模試や講習テキストを研究して幅広い網を張っておき本番に備える姿勢が大切だと強くおっしゃる。何が出ても大丈夫という状態でなければ、東大合格は難しいだろう。
  • 批判的意見は以下の通り。特に関西の世界史科講師陣からの評判が悪い。
    • 中谷臣師は自身のブログで実戦模試やオープン模試の質の悪さを痛烈に批判し、過去問の研究を第一にするようおっしゃっている。
    • 川西勝美師は、2019年度秋の第1問でBrexit(イギリスのEU離脱)を指定語句としていたことを、「先行き不透明な未来の出来事について出題するのは歴史の試験としておかしい」と批判していた。
    • 地歴の他科目と同様に、知識偏重の傾向がある。
  • 過去問集に載っているのは、第2回が3年分。
    • 高1生はその年の更新が入る前に買っておくと高3で更新が入った後に買えば6回分確保できる。

地理 Edit

  • チーフは宇野仙師(2021年度第2回~)。この回は「問いの連動」が見られ、多角的・多面的で適切な難易度であり、評判が非常に良かった。
    • 以下の記述はこれまでの模試の情報である。
  • 過去問と比べると知識偏重である。
    • 過去問のような精巧さが見られず、過去問特有の「問いの連動」も見当たらない。
  • 解答例も評判があまり良くない。
    • 東大が求めているであろう多角的・多面的考察を踏まえた解答とは、およそ言い難い。
  • このこともあってか、難易度は本番の試験よりも高め。
    • 2019年度の秋は、特に難しかった。3号館での最高得点は35点だった模様。
  • 宇野仙師は「過去問の研究で東大特有の入試問題に慣れるように」とおっしゃる。

物理 Edit

  • 森下寛之師や小倉正舟師が中心となり作成。
  • 過去問集に載っているのは直近2年計4回分。
  • 坂間勇師出題時代は出題も解説も趣味的で賛否両論あった。
  • 解説には微積が用いられているので注意。
  • 2022年度第1回においては、平均点が10.5点という恐ろしい難易度となった。
    • なお、本試もこれに匹敵する難易度となった。

化学 Edit

  • チーフは中村雅彦師。吉田隆弘師や早野益代師、高野辺康介師、黒澤孝朋師、石井光雄師など、スーパー東大理系演習コースを教える方々が作問に携わる。
    • 2020年の第1回のヒートポンプの問題は、早野師が麻布中の入試にインスピレーションを受けて作成した。
  • 例年の有機化学分野は、第一回は「反応の仕組み」や「脂肪族・芳香族」が出題され、第二回は「油脂」・「糖類」・「アミノ酸」が出題される。
    • 過去問集に掲載されることもあり、2年連続同じ分野から出題されることは非常に少ない。(パートⅠとパートⅡに分かれている場合は話が別だが。)
  • 過去問集に載っているのは第2回が3回分。
  • 実は新理系の化学問題100選より難しい問題が紛れ込んでいる。知る人ぞ知る化学の問題の裏ボス的存在になっている。化学ガチ勢は過去問を遡ってしっかり研究しよう。

生物 Edit

地学 Edit

  • 過去問集に掲載されることはない。
  • 採点が厳しいことで有名。東大実戦に比べて本試験では10点上がることもあるとか。
    • 途中式に単位がないものは減点、記述内容が正解でも行数不足ならバツなど。
    • そのせいか、受験者と平均点が異様に低い。2022年の平均点は第一回11.1点、第二回12.5点
  • 論述する内容が思いつかずに、いいかげんな記述をすることは「倫理観の欠如」であるとして、木村師は講評なさる。
    • ちなみに、覚えている答えを過程なしに書くことも「倫理観の欠如」である。

沿革 Edit

  • 東大入試実戦模試開催以前は、1962年から東京大学学生文化指導会奥井潔師参照)主催の「東大(全国)学力コンクール」を採用していた(河合塾の「入試オープン」の項も参照)。
  • 1974年創設の河合塾主催「東大入試オープン」に対抗して創設された。
  • かつては、8月と11月、12月の年に3回実施されていた。
  • かつては、駿台河合塾の東大入試オープンに実施日をぶつけており、東京の受験生は両方受けるために、群馬や静岡まで遠征したり、SEGで受験したりしていた。

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