安藤達朗

Last-modified: Fri, 05 Jan 2024 13:14:02 JST (109d)
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安藤達朗(あんどう たつろう)は、元駿台予備学校日本史科講師。元日本史科主任。2002年没。

経歴 Edit

  • 1935年、台湾生まれ。
  • 鹿児島県出身。
    • 戦後、鹿児島に引き揚げる。
  • 東京大学文学部国史学科卒業。
  • 東京大学大学院人文科学研究科修士課程(比較文学比較文化専攻)修了。
    • 修士論文「日本人の論理構造−総合的歴史観への試み」(1965年度)

授業 Edit

  • 鹿児島訛りで、かつ吃音だったらしく、授業自体は聞き取りづらかったそう。
    • 聞き取れるくらいになるまで慣れるのに一学期分は必要な人もいた。
  • 非常に考えられたレイアウトの板書で、授業が聞き取れなくてもノートを見返せば十分であった。
    • 黒板を四段に分割し、同時並行で書いて行くというものだったそう。よくまとめられている代わりに板書量が多く、生徒はノートを取るので必死だった。
    • ゆえに字も小さく、後ろの方からは全く見えなかった。当時の教室には数百人*1の生徒が詰め込まれていたこともあり、教室の三分の二は常時オペラグラスだったそう(多田圭太朗師談)。
  • 毎回スリッパで授業に登壇していた。
  • 「よ~うするにっ」が口癖。
  • リベラルな考えの持ち主であったためか、岸信介を「きししんすけ」と呼んだり、近代史においていわゆる保守系の人物を故意に音読みする癖があった。

担当授業 Edit

通期 Edit

夏期講習 Edit

冬期講習 Edit

直前講習 Edit

人物 Edit

  • 日本史科主任教授。
  • 東大・一橋などの難関国公立大向けの指導に定評があった。
    • 「国立の安藤、私立の注連本」と言われていた。
  • 大学への日本史』(研文書院、1973年)の著者として校外生にも有名であった。
    • 同書は、当時の東大・一橋大受験生に絶大な人気があった。
    • 研文書院は、元々、東京大学学生文化指導会(文指)の出版部門であったので、師も世界史大岡俊明師同様、文指で受験指導していたのかもしれない(未確認)。
  • 新人講師は必ず師の授業を参観するという慣習があった。
    • 野島博之師も新人講師時代、師の授業を参観したそう。
  • 時代区分論について生涯考え続けていた。
    • 社会的変動によって、あるいは社会全体の思潮によって、時代区分の設定がいかに恣意的に設定されてきたかという点を明らかにしていけば、たとえば発展段階論的な歴史観のもつ制約性を明らかにできるという考えがあった。
    • 「学問は科学でなければならず、科学とは客観的なものだ」という考え方自体がヨーロッパ近代によってもたらされた観念である
  • 歴史を学ぶ営為を以下のように記している。
    • 『社会に生きる我々は、自覚的であろうとなかろうと、娯楽や文化の一つのジャンルとして、歴史に対してかなり主観的なアプローチをしている。アプローチの基準を一言でいえば、「面白いから」、あるいは「興味を惹かれるから」ということであり、多くの場合、過去の歴史は、歴史上の人物に自己を投影させるという営為をつうじて「未来への橋渡し」をしてくれることになる。ということはつまり、一見、面白さと興味を媒介にした、身勝手な自己投影願望を歴史叙述によって満足させようとする人々の姿勢は、実際のところ、過去のなかに未来をみつめるという点で大変ポジティブな性格を秘めている』(駿台フォーラムより)
  • 新谷師により、樺美智子さんを背負って逃げたという武勇伝が語られたが、おそらくは新谷師のホラ話に違いない。
    • 樺美智子さんと東大文学部国史学研究室で同僚だったのは金本正之師である。
  • 逝去後、日本史科を代表して野島師が追悼文を寄稿した。

著書 Edit

学習参考書 Edit

  • 日本史講義 時代の特徴と展開駿台レクチャー叢書〜駿台レクチャーシリーズ〜駿台受験シリーズ)』(駿台文庫、1994年9月10日)
    • 元々は、『駿台レクチャー叢書〜駿台レクチャーシリーズ 日本史講義シリーズ』1〜5の第2巻。
    • 論述対策の定番。
      • 塚原哲也師も勧めている。
      • 和田秀樹氏は自分が紹介して東大受験生に浸透したように言っているが、それ以前から人気があった。

一般書 Edit

  • 『いっきに学び直す日本史 古代・中世・近世【教養編】』(安藤達朗 著/佐藤優 企画/山岸良二 監修 東洋経済新報社)
  • 『いっきに学び直す日本史 近代・現代【実用編】』(安藤達朗 著/佐藤優 企画/山岸良二 監修 東洋経済新報社)

論文 Edit

  • 安藤達朗「時代区分をめぐって-歴史観の転換のために-」, 『駿台フォーラム』第16号, .
  • 安藤達朗(2002)「時代区分を考えるために」(未完), 『駿台フォーラム』第20号, 2002 , .
    • 遺稿。

参考文献 Edit

  • 野島博之(2002)「希求をやめない魂――安藤先生が教えてくれたこと――」, 『駿台フォーラム』第20号, 2002 , .

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*1 300〜450人